竹村りゑの物語の宅配便 vol.2 星をテーマにした本
『オオルリ流星群』伊与原新著(KADOKAWA)
【撮影協力】和甘味 つぼみ
七夕があるからでしょうか、7月になると星空への憧れが高まるように思います。
そんな気持ちを一層盛り上げてくれるのが、伊与原新さんの『オオルリ流星群』。かつて別々の進路を選んだ5人の高校の同級生たちが、45歳になって再会し、力を合わせて作るのは天文台。誰も観測したことのない天体を探すため挑戦する天文学者の彗子(けいこ)を中心に、大人たちは「夏休みの工作」に懸命に取り組むというストーリーです。
困難を乗り越えながらも完成していく手作りの天文台と重ねて語られるのが、かつて高校3年生の夏休みにみんなで作った、空き缶タペストリーです。受験生なのにね、と笑いながらも、どこまでもキラキラしていた青春の1ページ。あの頃とは違い、家庭や仕事などの責任や重圧を抱えつつ、ときに悩み迷いながらも、過去と向き合い、かつての情熱を取り戻すため、登場人物たちは天文台の完成に向け励まし合います。
読み終わったあとには星空を眺めたくなること間違いなし、この季節にお勧めの1冊です。