32 POP BY COFFEE
流行として消費されず、通ってもらえるお店になりたい

この形ならやっていける修業の中で見えた独立への道
片町の交差点から中央通りを進むと、左手に印象的な店が見えてきます。大きな窓に赤と白のストライプのオーニング。『POP BY COFFEE』はイタリアのバールを思わせるカフェです。
店主の竹中悠葵さんは、高校卒業後に上京し飲食店でキャリアを重ねる中で、カフェでの独立を決意します。
修業の一環としてイタリア料理店のサービスをしている際、妻であり今の事業のパートナーでもある由梨江さんと出会いました。当時、由梨江さんは大学生のアルバイト。悠葵さんの仕事ぶりに惹かれ交際へ。「彼の夢を叶えたかった」と就職の内定を辞退し、大学卒業と同時に結婚して金沢での生活を始めます。

中央通りの長町2丁目信号の角地に位置する。赤と白のストライプのオーニングと大きな窓が目印
物件選びの条件は三つ中央通りがぴったりハマった
開業にあたり悠葵さんが場所の条件とvしたのが「大通り沿い・角地・観光地の外れ」の三つです。「大通り沿いの角地は、お店の存在を知ってもらいやすい。観光地の中は避けたいと思いました。一見のお客さんより、町の人に受け入れられるお店になりたかったのです」。
テナントの募集を見て今の場所に入居を決めましたが、店舗に駐車場がなく竪町や片町から人が歩いてくるイメージも当時はありません。「夜のお店ならわかるが、カフェはどうだろう」と心配する人もいたそうです。
そんな声をよそに、開業後は町に根付き、多くの人に愛される店になりました。同店は、閉店後もシャッターを下ろしません。「極端なことを言えば、お店というものは、開いていない時間でも楽しめると思っています。外から雰囲気を眺める。お店の前のベンチに腰かけ、ひと休みする。この場所が町の中で機能してほしいんです」。営業時間外にまで町への思いが及ぶこの言葉に、二人の店づくりの姿勢が凝縮されています。
開業からしばらく、自店のアカウントではSNS受けしそうなメニューを載せなかったそうです。それは、ネットで話題になると一見のお客さんが多く来て、消費されて終わってしまうため。かといって常連客を贔屓すれば初めて訪れる人が入りづらくなります。「誰もが居心地よく過ごしてもらえるよう、平等に接することを心がけています」と悠葵さんは話します。

「自家製すももソーダ」(600円)と「メロンパフェ」(1,300円)。月替わりのパフェが新定番に

ラベルやプライスカードは手作りが中心。クッキー詰め合わせのラベルは、近所の子どもが描いてくれたもの
続けていくためにルーティンを見直す
穏やかな佇まいですが、内に秘める想いは強い二人。開店から全てのメニューを揃える工夫をしたり、さりげなくドアを開けたり。相手の小さな機微に目を向け、決して店都合にはしない運営は、二人にとっては当たり前であっても、その積み重ねが訪れる人の心を掴んでいるのかもしれません。
オープンからもうじき5年。町の人からは、「若い人をよく見かけるようになった」という声も聞くそうです。今年6月、信頼するパティシエに任せる形で、新店もオープンしました。いつか宿泊施設を手がける構想もあるとか。仕事と真摯に向き合う二人の挑戦は、これからも続きます。
POP BY COFFEE
店舗情報
- 店名
- POP BY COFFEE
- 住所
- 金沢市中央通町11-40
- 電話番号
- 076-254-5174
- 営業時間
- 9:00〜16:00
- 定休日
- 火曜、金曜
- @popbycoffee