19 マルグリット
世界各国の料理が食べられるユニークで温かい街

「中村屋の恵子ちゃん」から、「花屋の恵子ちゃん」へ
「いらっしゃいませ」と、溢れんばかりの笑顔で迎えてくれる店主の中村恵子さん。店内には色鮮やかな花々が並び、華やかな匂いが漂っています。そこにいるだけで元気が出るような場所、それがフラワーショップ『マルグリット』です。
餡の乗った「カツ丼」で知られる有名洋食店『グリル中村屋』に生まれ、祖父や両親が働く姿を間近で見ながら「いつかは自分で商売がしたい」と憧れてきた中村さん。家業を手伝いながら花を習っていた当時は、雑誌で次々と特集が組まれるなどフラワーショップに注目が集まっていた時代。「花屋さんをやってみたら?」と提案を受けたことをきっかけに、30歳の年で自身の店を開きました。

お客様の要望やイメージを汲み取り、形にしてくれます。毎年の完成を楽しみにしているお客様もいるという、オリジナルカレンダー。『グリル中村屋』と『マルグリット』は実は同じビルに入っています。
今もなお学び続けると同時に後進たちを育てる機会を創出
持ち前の明るさと親しみやすい人柄、そして「おしゃれが好き」と話すようにファッションセンスもある中村さん。オープン以来、多くのお客様から好評を得ていたそうですが、あるとき「この程度じゃダメだ」と思い立ち、神戸、東京、パリに店舗を持つフラワーショップ『アイロニー』で習い始めます。
「ファッションと同じように、花にも流行やトレンドがあります」と中村さん。創業30年以上が経った今もなお東京へ足を運び、花を学び続けるだけでなく、様々な講師を金沢に招いて若手が教わる機会も作っています。「もちろん若い子たちのためでもあるけど、自分のためでもあるんです。ずっと仕事をし続けるためには私自身が学び続けないといけないし、横のつながりも大切にしたいと思っています」と語ります。
おしゃべりでお節介、元気を与える、愛されキャラ
自身のことを「ちゃべ」(金沢弁で「おしゃべり」のこと)と言うほど、おしゃべりとお節介が大好き。プロポーズ用の依頼を受ければおすすめのレストランを紹介したり、「こういった花束を作ってほしい」と言われれば「こっちの方が合うんじゃない?」と提案をしたりと、裏表なく親身になってくれる姿勢が魅力です。「サプライズが好きなのは、私自身がされたときに『こんなに嬉しいんや』と思ったから」と笑顔で教えてくれました。
一緒にいるとこちらまで元気になるようなパワー溢れる中村さんですが、実は「自信なんてないわいね。店を続けるためには、お客さんに付いてきてもらうためにはどうしたら良いか、常に考えているよ」とのこと。モットーは「やってやれないことはない、やらずにできるわけはない」。お客様の喜びや感動のための努力は惜しまず、自分だけでなく後進の成長も後押しする。そんな一所懸命で努力家な一面も、多くの人から慕われ、愛される理由なのです。
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