9 株式会社ヤマト醤油味噌(ヤマト・糀パーク)
気性はちょっと荒いけど、人柄は本当に良いんですよ

亡き父の背中を見て学んだ物事を貫き通す大切さ
明治44(1911)年から続く老舗企業でありながら、主力商品である醤油や味噌にとどまらず、甘酒やポン酢など幅広い商品を手掛けている『ヤマト醤油味噌』。海外展開や、チーズケーキ専門店や自家製のどぶろくと糀を使ったハンバーガーが味わえるショップをオープンするなど、その挑戦は止まることを知りません。近年ますます勢いを増す同社を率いるのが、4代目・山本晴一さんです。
現在は会社の顔として国内外を忙しく飛び回る山本さんですが、幼い頃は内気で、恥ずかしくて人の目も見られないような子どもだったと言います。長男として生まれ、「いつかは家業を継ぐのだろう」と意識していたものの、家から離れたい思いで県外の大学へ進学し、さらに在学中にアメリカへ留学。東京都内にある商社への就職を考え始めた頃、先代から金沢へ戻ってくるよう言われ、地元に戻ってきました。
「僕はどちらかというと父親似ではないのですが」と前置きをした上で、先代について「昔の人だから、特に何かを教えてくるようなことはありませんでした。一方で、自分で言ったことは死ぬまで守るような、自分の発言に責任を持つ人。損得を抜きに、自身が信じることを、強い意志と責任感を持って最後まで貫き通す人でしたね」と振り返ります。

大野町のシンボルにもなっている『ヤマト醤油味噌』の煙突。新商品「ヤマト・シーサイドどぶろく」(柚子・カシス) 2024年にオープンした『金沢天晴山藤濁酒研究所』にて。晴れた日には、テラス席から白山を望むことができるのだとか。
市場にいる人は世界共通、「口は悪いけど腹は良い人」たち
輸出事業は家業に入った5年後の1998年から開始。初めは石川県食品協会に加盟する8社で、アメリカ・サンフランシスコで開催される展示会に出展しましたが、思っていたような成果は得られませんでした。翌年再びアメリカへ行き、リベンジ。そこで中堅食品専門商社との出会いがありました。そのとき一流レストランのシェフたちに、自身が考案した生醤油「ひしほ醤油」を認めてもらった経験が、その後のヨーロッパ進出への契機となったといいます。「市場にいる人は世界共通、口は悪いけど腹は良い人たちなんですよね。大野もそう。漁師町でちょっと気性は荒いけど、人は本当に良いんです」と話します。
一貫して取り組んでいるのは、異なる文化や世代の人々に対し、「伝統食の良さを再定義して、翻訳して伝える」ことです。普段は玄米と、一汁一菜一糀の食事が基本。そのおかげか、風邪はずっと引いていないのだとか。座右の銘は「YOU NEVER FAIL UNTIL YOU STOP TRYING(挑戦をしている限り失敗はない)」。「要は、できるまでやれってことですよ」と笑います。
株式会社ヤマト醤油味噌(ヤマト・糀パーク)

店舗情報
- 店名
- 株式会社ヤマト醤油味噌(ヤマト・糀パーク)
- 住所
- 金沢市大野町4丁目イ170
- 電話番号
- 076-268-5289
- 営業時間
- 10:00〜17:00
- 定休日
- 水曜、年末年始