パンブラザーズアベ
父の思いを継ぎ、兄弟で店を守る パンブラザーズアベ 代表 阿部 広幸さん

店頭にある機械仕掛けの人形が目印約80年にわたって町を見守る
土曜の昼下がり、店の外まで広がる香ばしい匂いにつられて通りすがりの人が次々と入店していき、あっという間に店内は人でいっぱいに。年中無休、朝8時半から夜8時半まで営業しているベーカリー『パンブラザーズアベ』は約80年にわたって地域に根差した営業を続けてきました。
1953年、かつて金沢市六枚町にあった和菓子店の次男坊として生まれた先代の阿部章二さんが『阿部屋』として創業。長男の広幸さんと次男の英男さん兄弟が店を手伝い始めると同時に、現在の店名へ改名しました。
小学生の頃から近隣の喫茶店に食パンを配達したり、映画館で出前販売をしたりと店の手伝いをしていた広幸さん。「店を継ぐのは自然な流れだった」と振り返ります。印象に残っているのは、熱い思いを持ってパンと向き合う父・章二さんの力強い言葉です。「自分の教えた通りに食パンを作っていれば、向いに有名店ができても大丈夫だ」と言われ、23歳の頃から店に立ち、ゼロからパン作りを学びました。
章二さんがこだわったのは食パンです。食パンの生地は大変デリケートなため、「寒かったら子どもに服を着させてあげるのと同じようなことを、食パンにもしてあげなさいと教わりました。私たちが作っているのは大量生産では決してできないものです。これまで高級食パンブームなどもありましたが、時代に流されず、自分たちが良いと信じるものをひたすら作ってきました」と語ります。

近年では外国人観光客も多く訪れ賑わいます。
老若男女に愛される店を目指し、100種類以上のパンを揃える
20年前に代替わりをし、今では広幸さんが代表、英男さんが工場長として二人三脚で店を営んでいます。子連れのファミリーや学生、社会人、年配客など幅広い人が訪れる立地柄、「それぞれのお気に入りが見つかるよう、どんどん商品を増やしました」といい、食パンをはじめスイーツ系や惣菜系、サンドイッチなど100種類以上のパンをラインナップ。なかでも自慢は一日約100個が売れる「アップルパイ」です。パイ生地に仕込むプレザーブも自家製というこだわりようで、こんがり焼けたつややかなパイと絶妙な甘みのプレザーブは相性抜群です。
せせらぎ通りは「あらゆる人が訪れる場所」。広幸さんに今後の目標を訊ねると、「町のパン屋さんとしての矜持を持ち、幅広い人に愛される店として、今後も努力を重ねていきたい」と答えてくれました。
「さらにおいしく、今よりももっと良く」。父から譲り受けた向上心を胸に、今日もパンと向き合います。

「アップルパイ」(290円)は見逃せません。

お馴染みの機械仕掛けの人形はドイツ製なのだとか。
パンブラザーズアベ

店舗情報
- 店名
- パンブラザーズアベ
- 住所
- 金沢市片町2-8-15
- 電話番号
- 076-221-5560
- 営業時間
- 8:30〜20:30※日曜は9:30〜19:30
- 定休日
- なし