味処 髙崎
町のまとめ役と割烹経営の二刀流 味処 髙崎 店主 髙崎 正剛

老舗割烹を継いだ2代目商店街のまとめ役として奮闘
昭和47年に洋食店として創業し、徐々に割烹料理に転身。長年に渡り人気を集める店が、せせらぎ通りの入口にあります。冬には加能ガニを求めて県内外からファンが訪れる老舗『味処 髙崎』。現在は2代目・髙崎正剛さんが店の経営を担っています。「営業中はお客様との会話が僕の仕事。カニの個体の違いや時価の説明をしながらお客様に喜んでいただけるようご提案しています」。
本業の他に、髙崎さんにはせせらぎ通り商店街の会長というもう1つの顔が。飲食店に雑貨店、ブティックなど個性が光る店がひしめくせせらぎ通り。そのまとめ役を担い、毎年のお祭りを取り仕切ったり新たなSNSへの参入を提案したりします。
髙崎さんに白羽の矢が立ったのは十数年前。『味処 髙崎』の初代だった父から事業を引き継いですぐの頃でした。経営にも慣れず悪戦苦闘する中で「次期会長を」と声がかかります。「最初は断ったんです。まだ経営者になって日が浅く、東京から戻ったばかりの身でそんな立場は難しいって。でも周りからぜひやってほしいと言われて断れませんでした」。髙崎さんは正真正銘この町の生まれ。幼少期は店舗2階が自宅で、町が庭代わりだったそうです。商店街としては、町を昔から知る人に会長をしてほしいという思いが強く、髙崎さんは理想の人材でした。就任当時は30代。若さを活かして東西奔走したといいます。今では路面店の空き店舗はゼロ。観光客も地元民も入り交じる活気あふれる商店街となっています。


改装時に初代の希望で入口に設置された創業当時の旧店舗ロゴ。

水槽の加能ガニは食べ方をその場で選んで楽しめます。カニは価格変動が激しく「取り扱いが難しい」と髙崎さん。
商売人が暮らす「街」だからこその家族のようなコミュニティ
昔に比べ地域コミュニティが希薄といわれる現代ですが、「街」に関してはそうは感じないと髙崎さん。「子どもの頃から、自分は『街』の人間だという意識が常にありました。都会的とかいうことではなく、商売人のコミュニティの人という意味です。学校では『味処 髙崎さんのところの子』という印象でしたし、友達もみんなそういった家の子ばかりでした」。
商売人の子どもならではの苦労や経験もあったといいます。「商売をしている家の子はなかなかかまってもらえない子も多い。だからこそ、皆が周りの家や店の子どもを見かけたら声をかけるんです。『○○ちゃん、どうしたの?お母さんたち忙しいんか?』なんて。自分もそう育てられてきて、子どもは町で育てるという感覚がある。自分にとって町は家族みたいなものです」と話す髙崎さん。お店を一歩出れば多くの人に声をかけられます。そうやって挨拶を交わす姿は、街ならではの近い距離感でのコミュニティを体現しているようでもありました。
味処 髙崎

店舗情報
- 店名
- 味処 髙崎
- 住所
- 金沢市長町1-2-22
- 電話番号
- 076-231-0116
- 営業時間
- 17:00~22:00
- 定休日
- 日曜(連休の場合は最終日)
- @ajidokorotakasaki