糀のある日本の食卓を、 未来へつなぐ 髙木糀商店 髙木 竜さん・真利子さん | Favo石川版
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金沢市 東山

34 髙木糀商店

本物を知る町に支えられてこの風景と、ともに歩む

自分の糀を追い求めて見つけた理想的な発酵の風景

 東山の静かな通りの一角に、190年以上続く『髙木糀商店』があります。味噌や甘酒、かぶら寿司など、土地の食文化を支えてきた糀の老舗。けれど8代目の髙木竜さんが目指したのは、先代の味をそのまま受け継ぐことではありませんでした。
 父から「継がなくてもいい」と言われて育った竜さん。農大へ進まず一般大学へ進学しましたが、やがて「家業を潰したくない」という気持ちが芽生え、継ぐことを決めました。しかし「父は別の事業もしていました。糀に専念していたわけではないため『教えることはない。外で学んできてくれ』と言われたんです」。竜さんは酒蔵や味噌・醤油の醸造所などを訪ね、つくりたい糀を自分で探しました。次第に「自分の思い描く発酵空間をつくりたい」という思いが芽生えます。機械が動き、プラスチックタンクが並ぶ工場よりも、昔ながらの道具が並び、職人が糀と向き合う手仕事の風景。幼い頃に見ていた職人の祖父の姿や、市の保存建造物に指定されている実家の建築など、育ってきた環境がその理想の土台です。
 一般的な家業継承は味や技術の継承を求められることが多いですが、竜さんの場合、自分の味をつくる「0から1」を生み出す仕事でした。現在も「一つのことを深く誠実に突き詰めたい」と研鑽を積みます。糀愛好家のお客さんが話すレシピや、父のギャラリーを訪れる作家の作品、受験生の息子と農大を訪れた際に口にした学生手作りの醪など、様々な人やものに新たな刺激を受けながら、自身の仕事を深めています。

明け方には、米を蒸す窯から白い蒸気が立ち上る幻想的な風景が見られるそう。昔ながらの道具を使い「道具をつくる職人さんの技術も未来に残したい」と竜さん。

つくる人、つなぐ人東山に根を張る二人の商い

 そんな竜さんを支えるのが、妻の真利子さんです。老舗旅館の家に育ち、古き良きを受け継ぐ価値を知るからこそ、竜さんの目指す先も深く理解しています。「人に会って話をするのが好き。ものをつくる人や、自分の責任で仕事をしている人の話は刺激になります」と、持ち前の愛嬌で人とつながり、新しい風を運んだり、店の魅力を伝えたりしています。中で誠実にものをつくる竜さんと、外へその良さを広げる真利子さん。二人の異なる力が、店の引力を生んでいます。
 花街の旦那衆をはじめ、東山の「本物」を知る人たちに支えられてきたことも、店の誇りです。かつて商店が軒を連ねていた東山。観光地化で風景が変わるなか、「この店はいつも変わらない、東山に恥じない存在であり続けたい」と二人は言います。
 竜さんには明確な未来像があります。かぶら寿司製造や味噌のワークショップなど糀を軸に事業を広げてきましたが、最終的に目指すのは「糀一本」に戻ること。「昔はそれだけ糀が暮らしに身近であったはず」と、日本の食文化を支えてきた糀を、もう一度食卓の土台として築きたい。守りたいのは技術や味だけでなく、それが息づく風景です。受け継いだものに手を加えながら、次の100年へ。『髙木糀商店』の未来は、今日も静かに醸されています。

商品の文字やイラストは、京都の書家・荒川玄二郎氏のもの。先代の進さんは芸術に造詣が深く、店の土間でギャラリーも運営。氏の個展を開催したことも。

「糀屋」は素材のプロでありながら調味料のメーカーであり、さらに家庭の手作りを支えるのパートナー。だからこそ使いやすさを考えた万能な糀を目指す。

金沢市 東山

髙木糀商店

店舗情報
店名
髙木糀商店
住所
金沢市東山1-9-3
電話番号
金沢市東山1-9-3
営業時間
9:00~19:00
定休日
不定休
Instagram
@takagikoujishouten

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