05 JO-HOUSE
老いも若きも名医も学生もジョーハウスの中では皆平等

抑えきれない好奇心とよそ者的な視点を武器に
1972年創業の老舗カレー店『JO-HOUSE』。もともと片町に店舗がありましたが、金沢美大の小立野への旧移転と共にこの石引に移転しました。今も昔も多くの人に愛され、医大生や美大生、医療従事者に地元の人、病院通いの年配者などあらゆる人が訪れます。そんな『JO-HOUSE』の二代目店主が本池和樹さん(愛称:モカくん)です。
鳥取県出身の本池さんは大阪のデザイン学校を卒業後、デザイン会社での見習いを経て、友人を頼って京都へ。その友人に勧められて訪れた喫茶店『ほんやら洞』(現在は閉店)で、『JO-HOUSE』の創業者・松田豊さんの娘であり後の妻となる、とわさんと出会います。「父の店を守りたい」というとわさんの思いもあって二人は金沢に移り、2002年、入籍した年に店を継ぎました。長く続く店を守りながらDJ、私設多目的スペース『じょーの箱』大家など多様な顔を持ち、さらには石引商店街の公式ZINE『きみは石引通』の編集長を務めるなど、話題に事欠かない存在です。
金沢に移住して25年になる本池さんですが、「いまだに金沢市民になりきれない、潜入ルポライターのようなスタンスです」といい、石川県民や金沢市民にとっては当たり前でも県外の人にとっては馴染みの薄いことをまとめたZINEや、我が子の小学校入学を機に「標準服」を独自調査したZINEを手掛けるなど、金沢(石川)を面白がるような視点を持っています。聞けば、京都のレコードショップで働いていた頃よく販促用POPを書いていたと言い、「そのアーティストの曲を聞いたことがない人にも好きになってもらえるように、いいところを探して、盛って紹介するんです(笑)。そんな風に、人や町に対してもいいところを探すような癖がついているのかも」と話します。

先代の味を受け継いだ名物「ジャワカレー」(写真はマリボーチーズトッピング)はスパイスの豊かな風味を感じる、濃厚でコク深い一品。
自分にとって生きやすい、楽しい環境を作っていく
石引商店街振興組合としての活動にも精を出し、毎年、公式ZINE『きみは石引通』を印刷スタジオ『石引パブリック』と共に共同制作。夏祭りや秋祭りといったイベントの企画・運営に汗を流すだけでなく、公式ソング「石引ゲバゲバ音頭」も完成しました。そのほか『じょーの箱』では、ワークショップやイベント、ポップアップストアなどを開催するなど様々な取り組みを行っています。「特にお店を大きくしたいとか名を売りたいとかもないけれど、自分にとって生きやすい・楽しい環境を作ることでそれを楽しんでくれる人がいるというのは嬉しいですね」と頬を緩めます。石引は代々受け継いだ土地に住み続けている人もいれば、県外から進学した学生のような流動的な人もいたり、創業400年の老舗もあれば、今年オープンしたばかりの店もある、振り幅が大きく両極端なところが魅力の町。そんな人たちがカレーを食べている様子を厨房から見ていると、老若男女、『JO-HOUSE』の中では皆平等だなと思いますね」。
人や町の「いいところ」を見つけ、面白がりながら、全力で楽しむ。そんな姿勢が周囲を巻き込み、だんだんと輪を大きくしていく。多くの人から「モカくん」と親しまれる理由が分かった気がします。

「石引ゲバゲバ音頭」にはもちろん振り付けもあります。写真はインタビュー中に踊る本池さん。

『きみは石引通』は現在第3号まで発行。金沢美術工芸大学生や商店街の人々と共に制作しています。
JO-HOUSE

店舗情報
- 店名
- JO-HOUSE
- 住所
- 金沢市石引2-7-10
- 電話番号
- 076-222-5960
- 営業時間
- 11:30〜14:00、17:30〜22:30
- 定休日
- 日曜
- @jo_house1972