06 music&zakka Lykkelig(リュケリ)
少し世の中とずれていても 自分の感覚を信じてあげたい

興味の幅に培われた目と耳で日常に刺激と潤いの一滴を
石引商店街を進むと、小立野の入り口で町の空気が急に変わります。落ち着いた、暮らしの営みが香る町、小立野。その静かな町の一角にある小さな店が『リュケリ』です。
店主の宮島貴治さんは、学生時代から音楽を聴き漁り、その後、CDとレコードの販売ショップに勤めていた際に、幅広いジャンルの音楽に出合ったといいます。「歌謡曲に洋楽、スラッシュメタルにクラブ音楽など、通ってきた道はたくさん。店ではエレクトロニカやアンビエント、ジャズなどDJが好むようなものを並べていますが、自分用のレコードはジャンルレスで、4000枚くらいあって困ってるんです」と笑います。
デザインを学んでいた妻・智美さんと出会ったことで、雑貨にも興味が湧き、音楽と雑貨を主体とした店を開業しました。「小立野を選んだのは家賃が安かったから(笑)。それと、周辺に大学が多いので、物好きな学生が来てくれるだろうと思って」。現在も、学生たちのお財布事情を考えて、価格帯を抑えることも大切にしているそう。飄々と話す宮島さんですがその審美眼は、少なからず若者たちの感性を刺激しているはずです。今後は自身のレコードコレクションを開放することも構想中。昔の貴重な品が今の若者の目にどう映るのか、期待が高まります。

昨今の民芸ブームより遥か前から取り扱う、東北の職人が手掛けたコケシ。

レコード一枚一枚に添えられる、細かな文字でびっしりと書かれたコメント。
店主の感性に引き寄せられた個性豊かな人が集い、気づけば22年
2003年の創業以来、「ちょっと変わった」セレクトが評判の同店。お客様からの「ちょっと変わった」リクエストもあるそうです。ユニークな要望にも応えられる商品は、各地のクラフトイベントに足を運んだり、膨大な数の新曲を聴いたりして選んでいます。
埴輪や古墳をモチーフにしたグッズ、こけしを中心とした民芸品、鉱物や天体を利用した理系雑貨など、雑貨コーナーだけでもあちこちに目を向けたくなる空間です。「作家や職人の良質な手仕事とデザイン性、県内で取り扱いが少ないことなど、選ぶ基準は色々あるのですが、一番は自分の〝求められるもの〟センサーに引っかかることが大事」と話します。そう言いながら、一般的な王道ではない、むしろ横道にそれたようなチョイスがこの店の愉快なところです。お客様の声を聞き、顔を思い浮かべ、自身の店の立ち位置を俯瞰で見るからこそ、できるセレクトなのかもしれません。「決して自分に自信があるわけじゃないんです。僕も年齢を重ねてからは、ブレたなと感じることもある。でも自分くらいは、自分の感覚を信じてあげたい」と謙虚な宮島さん。感度の高い人が集まる店を20年以上も続けていることも、信頼のおける証でもあるはずです。
music&zakka Lykkelig(リュケリ)

店舗情報
- 店名
- music&zakka Lykkelig(リュケリ)
- 住所
- 金沢市小立野1-6-22 メゾンノア1F
- 電話番号
- 076-262-4511
- 営業時間
- 11:00~20:00
- 定休日
- 水曜
- WEB SITE
- https://www.lykkelig.jp/