新たな金沢らしさを届ける 折り紙名人 紙文房あらき 店主 荒木 崇さん | Favo石川版
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金沢市 青草町

27 紙文房あらき

市場は地域を映す場所折り紙が文化へ誘う入口に

市場で生まれ育った店主と紙がつないだ現在地

 近江町市場の一角に店を構える『紙文房あらき』は文政10年(1827年)に創業し、加賀藩前田家に和紙を献上していた歴史を持つ老舗です。鮮魚店や青果店の印象が強い市場の中で、同店のような紙や生活用品を扱う店もまた、この場所がかつて「暮らしのすべてを担っていた市場」であることを今に伝えています。
 6代目店主の荒木 崇さんは、生まれも育ちもこの市場。かつては店舗兼住宅の店も多く、同店もその一つでした。「市場は自分にとって庭みたいな場所でした。ここで自転車の練習もしたんですよ」と懐かしそうに笑います。
 そんな荒木さんですが、当初は家業を継ぐつもりはなかったそう。両親からも継承を強く望まれたこともなく、高校からおよそ10年間は陶芸の道へ。転機は地元に戻り、店を手伝い始めた頃でした。「紙のことを何も知らない私は、お客様からまったく声をかけられなかったんです」。その状況の中で、自分の居場所をつくる手段として始めたのが折り紙でした。
 幼い頃は苦手だった折り紙。しかし、折り紙制作の考え方は陶芸と通じるものがあり、次第にのめり込んでいきます。「自分は飽きっぽい性格なんですが、まずは他の作者の本を見て、干支の折り紙「辰」を100体以上作りました。次第にアレンジできる余白を見つけて、現在のオリジナルへとつながっていったんです」。その〝100〟の姿勢は、ブログの記事にも。次第にその発信が愛好家の中で話題となり、現在は北陸のメッカを守る「折り紙マン」として日本中の折り紙好きと交流しているそうです。

「一時期海鮮丼屋ばかり行列つくのが悔しくて作った」と笑うペーパークイリング作品「紙鮮丼」

作品に適した紙を探すお客様の質問に応えるため、オリジナル作品に限らず、200工程以上にも及ぶ超難解な作品にも挑戦し続けている。

好きを折り重ねて市場にひらく新しい形

 折り紙は、自分にとって「好きだからこそ続けてこられたもの」だと荒木さんはいいます。そして、突き抜けた〝好き〟は必ず相手に伝わるとも。その思いは、通りから見える折り紙のディスプレイにも表れています。
 店のあり方も、荒木さんの代で大きく変わりました。かつては文具中心だった構成を見直し、紙を軸にした空間へと再編。和紙や折り紙を通して、日本の文化やものづくりに触れられる場を意識しています。近年は外国人観光客も増え、「大通りに面したこの場所が、日本文化の入口のように感じてもらえたら」と語り、市場の多様な顔のひとつとして、この場所に立つ意味を模索し続けているそうです。
 一方で、荒木さんにとって近江町市場は今も変わらず創作の源。店先に並ぶ商品、建物の意匠、人の営みなど、そのすべてが着想につながるといいます。「ここはアイデアの宝庫」。市場の中で暮らし、働き、人と関わる日々そのものが、表現へとつながっていく。長い歴史の中で続いてきた営みを折り重ねるように、荒木さんの手仕事もまた、近江町市場という場所に新たなかたちを生み出しています。

場内で買い物ついでにアイデアを考える荒木さん。「ここが私のおすすめスポット」と指差したのはまさかの天井!折り紙の折り筋をつけたような雰囲気が創作のヒントになるそう。

金沢市 青草町

紙文房あらき

店舗情報
店名
紙文房あらき
住所
金沢市青草町88 近江町いちば館1F
電話番号
076-221-1027
営業時間
8:30~18:00 ※土日祝は9:30~17:00
定休日
不定休
Instagram
@kamibunbouaraki

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